「困難は起こるのではなく、正しいことをするチャンスを与えてくれる。」

この言葉を聞くと、一瞬「きれいごと」に感じる方もいるかもしれません。しかし、経営者として、またアスリートとして日々挑戦を続けている皆さんは、すでにこの言葉の“意味”を体で知っているのではないでしょうか。

私・倉雅彦は社会保険労務士として、多くの会社や現場を支援してきました。その中で気づいたことは、成果の裏には必ず「困難の時期」が存在するということ。そしてもうひとつ、困難の“向き合い方”によって未来が大きく変わるという事実です。


困難とは「壁」ではなく、方向性を示す“サイン”である

仕事でもスポーツでも、順調なときに軌道修正をしようと思う人は多くありません。 しかし、困難が訪れた瞬間、私たちは初めて立ち止まり、深く考えます。

  • 今のやり方は本当に正しいのか

  • 見落としている課題はないか

  • 人として、リーダーとして大切にすべき軸は何か

困難とは、「このまま進むだけでは何かが足りない」と教えてくれるサインなのです。

例えば、経営の現場であれば、組織の問題や人の悩みは、一見マイナスに見えます。しかし、そこに向き合うことで、より良い制度や信頼関係が築かれることが多くあります。

アスリートであれば、怪我やスランプが成長の分岐点になります。 フォームを見直した結果、以前より高いパフォーマンスを発揮する選手を何度も見てきました。


「なぜ自分だけ?」ではなく「何を学べと言われているのか」

困難に直面した時、最初に浮かぶ感情はどうしてもネガティブ的なこと

「なんで自分だけ…」 「タイミングが悪すぎる…」

しかし、そこでもう一歩考えてみてほしいのです。

『この出来事は、何を学べと言っているのだろう?』

この問いが、あなたの成長を決定的に加速させます。

経営者であれば、人間関係の難しさや制度運用のトラブルは、「組織としての基本」を整えるチャンスです。 むしろ、問題が早いうちに出てくれてよかった、と後から感じることも珍しくありません。

アスリートであれば、負けや挫折は「次のレベルに行くための課題」を浮き彫りにしてくれます。 苦しんだ経験を持つ選手ほど、最終的に強いメンタルを手に入れるのもそのためです。


困難をチャンスに変える2つの視点


① 感情ではなく、「事実」を見つめる

困難が起こると、どうしても感情が先に走ります。 しかし、一度だけ“事実”だけを整理する時間を作ることで、状況は冷静に見え始めます。

  • 何が実際に起きているのか

  • 誰が困っているのか

  • どの部分が改善可能なのか

この整理が、ただ不安に飲み込まれる未来と、前に進む未来を分けます。


② 「自分が変えることができる範囲」に集中する

困難の全ては解消できません。世の中にも、人間関係にも、変えられない部分があります。

しかし、変えられる部分は必ずあります。

  • 自分の姿勢

  • 自分の選択

  • 自分の言葉

  • 自分の行動

人は「変えられないもの」に意識を奪われると、気力を失います。 逆に、「変えられるもの」に集中すると、驚くほど前向きになれると私は思います。


困難は、あなたを“試している”のではなく “未来に押し出している”

「困難=試練」という捉え方をする人が多いですが、私は少し違うと考えています。

困難は、あなたを落とそうとしているのではなく、 “次のステージに押し出してくれる存在” です。

成長しない人には困難はほとんど訪れません。 挑戦している人、真剣に生きている人、責任をもって動いている人のところにこそ難題は集まります。

それはあなたが「乗り越えられる人」だからです。

経営者として、アスリートとして、そして一人の人間として、 今日あなたが向き合っている困難は、確実にあなたを強くし、未来を拓く力になります。そしてそれこそが、経営者やアスリートの持つ「真の強さ」なのだと私はそう思います。