こんにちは、社会保険労務士の倉雅彦です。今回は、子育て世代の職員が「働き続けられる職場づくり」を進めるために重要な、柔軟な働き方に関する法改正についてご紹介します。総務担当者の皆さまにとっては、制度設計や職場周知の準備が求められる重要なテーマです。

■ 法改正の背景

少子化が進む中で、育児と仕事を両立できる職場環境を整えることは、企業の持続的成長に欠かせません。厚生労働省は、子育てを理由に離職する人を減らし、安心して働ける環境を整えるために、事業主へ「柔軟な働き方の選択肢」を設けることを求めています。

■ 対象者と実施義務

今回の改正の対象となるのは、3歳から小学校入学前の子どもを養育する職員です。
事業主(事業所)は、次の5つの柔軟な働き方のうち2つ以上を選択し、職員が希望に応じて1つを選べるようにすることが義務付けられます。

■ 選択できる5つの柔軟な働き方

  1. 始業時刻等の変更フレックスタイム制度や時差出勤を導入し、勤務開始・終了時刻を柔軟に変更できる制度。
  2. テレワークの導入月10日以上のテレワーク勤務を可能にする制度。
  3. 保育施設の設置・運営事業所内保育施設の設置や外部保育施設との提携、保育費用の補助など。
  4. 養育両立支援休暇の付与小学校就学前の子を養育する労働者に対し、年10日以上の特別休暇(有給)を付与。
  5. 短時間勤務制度の導入労働者の申出に応じて所定労働時間を短縮する制度。

■ 総務担当者が準備すべきこと

柔軟な働き方の制度は、導入するだけでなく、職員に「伝わる」運用が大切です。

  • 就業規則や労使協定の改定

  • 制度を説明するパンフレットや社内掲示の準備

  • 管理職への説明会実施
    これらを通じて、制度が「形だけ」にならず、実際に利用される職場文化をつくることが求められます。

また、制度利用者が不利益を受けないよう、評価制度や配置の見直しも合わせて検討することがポイントです。

■ 柔軟な働き方は「企業の信頼」を高める

職員がライフステージに合わせて働き方を選べる職場は、離職率の低下や採用力の向上にもつながります。
「子育てしながらでも安心して働ける」職場づくりは、企業のブランド価値を高める投資でもあります。

■ まとめ

今回の法改正は、単なる制度変更ではなく、働く人を大切にする企業文化への転換点です。
総務担当者としては、まず自社の現状を整理し、どの制度を導入・拡充するかを早めに検討することが重要です。
育児と仕事の両立支援を通じて、職員も企業もともに成長できる環境を目指しましょう。