技術だけでは届かない世界
ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催され、連日、多くの感動が生まれています。競技の結果や記録はもちろん素晴らしいのですが、私は社会保険労務士という立場から、もう一つ心に残る場面があります。それは、メダリストや選手の皆さんが口をそろえて語る「家族やスタッフへの感謝の言葉」です。
表彰台の上で語られる言葉は、とても自然で、そしてとても温かいものです。「支えてくれた家族のおかげです」「コーチや仲間がいたからここまで来られました」――その一言一言から、人としての深さが伝わってきます。 世界の頂点に立つアスリートは、技術も体力も最高レベルです。しかし、それだけでは勝ち続けることはできません。多くの人の支えに気づき、それを素直に受け止め、感謝できる「人間力」があるからこそ、最後の一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
私は、人間力とは「当たり前を当たり前と思わない心」だと考えています。 今、こうして生活できていること。仕事があること。家族がいること。支えてくれる仲間がいること。どれも普段は意識しないかもしれませんが、本来は決して当たり前ではありません。
「有ることが難しい」と書いて「有難い」。 この言葉には、とても深い意味があります。日常の中にある小さな支えに気づき、「ありがたい」と感じる心が、人としての土台を育てていくのだと思います。
オリンピック選手は、華やかな舞台の裏で、長い時間をかけて努力を重ねています。その過程で、多くの人に支えられてきた経験があるからこそ、あの言葉が自然に出てくるのでしょう。結果を出した人ほど、周囲への感謝を忘れない。その姿は、競技を超えて私たちに大切なことを教えてくれています。
この「人間力」は、特別な世界の話ではありません。私たちの日常にも、同じことが言えます。 職場で一緒に働く仲間。家族。お客様。地域の人たち。誰かがいてくれるからこそ、仕事が成り立ち、生活が続いています。そのことに気づくだけで、見える景色は少し変わります。
感謝の気持ちを持つ人は、自然と周囲との関係も良くなります。信頼が生まれ、支え合う関係ができていきます。そして、その積み重ねが、仕事の成果や人生の充実につながっていくのではないでしょうか。
オリンピックの舞台は遠い世界のように見えますが、選手の言葉はとても身近なメッセージです。結果の裏には必ず、人とのつながりがあります。だからこそ、感謝を忘れない心が、人を強くし、成長させていくのだと思います。
今日一日を振り返って、「当たり前」に感じていたことに、少しだけ目を向けてみる。 それだけでも、人間力は少しずつ育っていくはずです。
