パソコンなどで何か言葉を入力すると変換候補が出てきますが、学習機能設定をオンにしている場合には、以前に入力したものが優先的に変換候補の上位に出てきてくれます。
当たり前に存在してくれている機能ですが、使いはじめた当初は凄いなぁと思った記憶があります。
さて今回は、『学習』について考えていきたいと思います。
人間は生まれてから死ぬまでの間に多くのことを学習します。学習というと学校の勉強のイメージが大きいかもしれませんが、それだけではなく、環境や経験などからも学習していきます。
心理学においてもこの学習に関して注目し、多くの研究がなされてきました。そのなかでも代表的な『条件付け』について以下2つご紹介します。
●条件反射
ロシアの生理学者イワン・パブロフが発表した実験が有名な『パブロフの犬』の実験です。
①犬にエサをあげる時にまず、メトロノームを聞かせます
②犬はエサを食べると唾液が出ます
この①と②を繰り返し食事の時に行います。すると、③犬はそのメトロノームの音を聞くだけで唾液を出すようになります。
①と②を繰り返すことを条件付けといいます。この条件を何度も繰り返すうちに無意識にその条件付けを学習し、③のような条件反射が起こるようになります。
●オペラント条件付け
何かの行動を行ったときにその行動に対して報酬や罰を与えることで、その行動をより強化することを『オペラント条件付け』といいます。
アメリカの心理学者スキナーは『スキナーボックス』という装置を使い、ネズミがレバーを押すとエサが出てくる実験を行いました。
ネズミは最初そのレバーを押すとエサが出てくることを知りませんが、何かのきっかけで偶然にレバーを押すとエサが出てくることを経験しました。そしてこの偶然が何度か繰り返されるうちに、レバーを押すことでエサが出てくることを学習し、エサが欲しくなるとレバーを押すようになりました。
オペラント条件付けを応用した例として、水族館などのイルカのショーがあります。ショーではイルカが一つの芸をするとごほうびにエサを与えます。イルカは芸をするとエサをもらえると学習しているのです。
自分の生活のなかで上記2つに関係することがないか考えたとき、少しズレるかもしれませんが学生時代の定期試験のときのことを思い出しました。
あるときの試験最終日、終わった解放感とともに疲労感もあり、午後からはゆっくりお風呂でくつろごうと、ほのかに甘い香りのする入浴剤を帰りに買いました。加えてそれだけでは物足りなく、愛読していたファッション雑誌も購入しました。
帰宅してさっそく買ってきた入浴剤を入れるといつものお風呂が極上空間に変わり、その後心身ともにほわほわな状態で雑誌を読み、癒し度マックスな午後のひとときを堪能しました。
その後の何回かの試験後には、この癒しコースをあらかじめ予定してたのしみました。
そしてこのコースは、試験に自分なりに可能な限りエネルギーを傾けるほど堪能できることを実感しました。
ここから学習したことは、エネルギーをつかった後には、十分な休息時間を持つことが自分にとって何より大切だということです。
ある知り合いの方は、いつもは気にならないまわりの人の言葉が妙に気になるときには、意識的に一人の時間をつくると言っていました。
条件付けからは話は逸れましたが、Aという出来事や状態の後にはBの行動をするというように、過去の自分から学習し、自分を維持するためにセットで組んでいることってあるなぁと思います。
学習してもすぐにはうまく軌道に乗らないこともありますが、遠回りしたりしながらも、少しずつうまくなっていけたらと思います。
(スタッフ:木村)